キャパシタとは?
【キャパシタについて】
キャパシタは、二次電池と同様に繰り返し充放電が可能な蓄電デバイスの一種です。
二次電池(バッテリーなど)が化学反応によって電気を蓄えるのに対し、キャパシタは電極表面に電荷を直接蓄える物理的な仕組みで動作します。そのため、以下のような特徴があります。
・高速な充放電が可能
⇒ 電荷の移動が物理的な現象であるため、短時間でのエネルギー出し入れに優れています。
・大電流を流すのが得意
⇒ 内部抵抗が低く、瞬間的な高出力に対応できます。
・蓄えられる電気量(エネルギー密度)は少ない
⇒ 二次電池に比べ、体積あたりの蓄電量は小さめです。
・電圧で残量を把握できる
⇒ キャパシタの電圧と蓄電量には比例関係があるため、残量モニタが簡便です。
さらに、キャパシタは化学反応を伴わないため、電極の劣化が少なく、長寿命であるという利点があります。
また、使用温度範囲にも違いがあります。
・キャパシタは環境温度の影響を受けにくい
⇒ 物理反応主体のため、低温下でも性能を維持しやすく、使用温度範囲(特に低温側)が広くなります。
・二次電池は温度依存性が高い
⇒ 化学反応が低温で起こりにくくなるため、寒冷地では性能が低下する傾向があります。
このように、キャパシタは高速応答性や長寿命、広い温度耐性などの特性を活かし、特に一時的な電力供給や補助電源用途に適しています。
用途によっては、二次電池とキャパシタを組み合わせて使うことで、それぞれの長所を補完し合うことも可能です。
【キャパシタの種類】
キャパシタの容量にはF(ファラッド)が用いられ、μF(マイクロファラッド)やpF(ピコファラッド)などの1F未満の小容量のものは「コンデンサ」、1F以上の大容量のものは「キャパシタ」と呼んで区別されるケースが多く見られます。
現在市販されている容量の大きなキャパシタは、一般的に「電気二重層キャパシタ(EDLC)」と「ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)」の2種類があります。
【電気二重層キャパシタ(EDLC)】
電気二重層キャパシタは、英語で Electric Double Layer Capacitor と表記され、その略称で「EDLC」と呼ばれます(以下、EDLCと記載)。
EDLCは正極・負極に活性炭を用いており、電解質中のイオンが電極表面に吸着・脱着する物理反応によって電気を蓄えます。
活性炭は比表面積が非常に大きいため、微細な孔により多くの電荷を保持することができ、大容量化が可能です。
EDLCは、以下のような特長から幅広い用途で採用されています。
・充放電スピードが非常に速い
・劣化が少なく長寿命
・従来のコンデンサと比べて格段に大容量
主な用途は、出力アシスト、バックアップ電源などです。
さらに、EDLCは電圧の下限制限が不要(0Vまで完全放電が可能)というメリットがあります。
一方で、自己放電が進みやすいというデメリットもあります。
【ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)】
ハイブリッドスーパーキャパシタは、EDLCの構造をベースに、片方の電極(主に負極)にリチウムをドープした炭素材料や金属酸化物などを組み合わせることで、高電圧化とエネルギー密度の向上を実現した次世代型キャパシタです。
HSCは、以下の特長を持ちます。
・EDLCと同様に高速な充放電が可能
・一部電気化学反応を活用することでエネルギー密度が向上
・長寿命かつ安全性が高い
・使用温度範囲が広く、特に低温性能に優れる
安全性が高いため、HSCは国際的には「非対称キャパシタ(Asymmetric Capacitor)」として分類されており、国連の危険物分類ではUN3508に該当します。
減圧試験や1.2m落下試験をクリアすれば、一般貨物としての国際輸送も可能です(当店製品は輸送試験クリア済み)。
ただし、HSCはEDLCのように0Vまで放電することはできず、電圧制限が必要です。
そのため、過放電を防ぐ電圧監視回路が必要で、当店製品にも取り付けられています。
また、エネルギー密度は向上しているものの、同体積で比べた場合、リチウムイオン電池の約1/10程度の容量にとどまります。
【当店取扱いの自動車用バッテリー並列キャパシタ動作原理】
通常のバッテリー(二次電池)は、化学反応を利用して電力を蓄えていますが、その特性上、エネルギーを取り出すスピードには限界があります。
当店取扱いの自動車用バッテリー並列キャパシタは、そうした制約を克服するために開発されたもので、瞬時に電力を供給できると同時に、待機中には短時間で再充電する機能を備えています。
これにより、従来にはないきめ細やかな電力制御が可能となりました。
また、当店のキャパシタは、10万回以上に及ぶ充放電にも耐えうる非常に高い耐久性を持ち、半永久的ともいえる長寿命を実現しています。
従来型バッテリーとの組み合わせによって、急速な電力の出し入れが可能となり、電力供給速度は従来のバッテリーと比較して50倍から100倍に達します。
さらに、バッテリーは長年の使用によって蓄電容量が最大で約40%まで低下しますが、当店のキャパシタがその弱点を補完することで、車両の電力系の信頼性を大きく高めることができます。
走行中の電力は主にオルタネーターから供給されますが、必要電流がそれを上回る場合、バッテリーの電力が使われます。
そのため、バッテリーの効率を高く維持することが、エンジン性能や車両の動作全体に大きく関わってきます。
当店のキャパシタは、そうしたバッテリーの負担を軽減しつつ、その寿命を延ばし、車両全体のパフォーマンス向上に貢献します。
【キャパシタとバッテリーの関係性】
一般的に市販されているバッテリーは、液体やジェル状の電解質を使ったタイプが多く、寒冷地では内容物が凍結してしまい、正常に発電できないことがあります。
一方で、キャパシタはカーボン素材を使用しており、ほぼ化学反応に頼らないため凍結の心配がありません。
これにより、通常のバッテリーと比べて高い放電能力を持ち、約10年にわたり新品同様の性能を維持することが可能です。
キャパシタを搭載することで、たとえ氷点下30度といった極寒の環境でもエンジンが始動しやすくなります。
また、バッテリーの寿命を延ばしたい場合には、太い電極を持つ旧型の安価な鉛バッテリーと高性能なキャパシタの組み合わせがおすすめです。
なお、高性能とされるバッテリーの中には、放電性能を高めるために電極がメッシュ構造になっているものもありますが、その分摩耗が早く、寿命が短くなる傾向があります。
多くの場合、寿命は3年程度と考えておいた方がよいでしょう。
キャパシタを使用することで、バッテリー側の電極に負担をかけずに電力を放出できるため、バッテリー全体の寿命を延ばす効果が期待できます。
より高い性能を求める場合はリチウムバッテリーの選択も可能で、キャパシタと組み合わせることで瞬間的な出力はさらに向上します。
鉛バッテリーを基準とした場合の放電能力比較
・一般的な鉛バッテリー:約2倍
・リチウムバッテリー:約4倍
・キャパシタ:約50~100倍
完全放電後の充電可能回数(寿命の目安)
・一般的な鉛バッテリー:約2回
・リチウムバッテリー:約300回
・キャパシタ:約100,000回
【自動車におけるキャパシタの役割】
バッテリーは充電状態が低いと、気温が0度でも凍結が始まります。
たとえ充電されていたとしても、気温がマイナス10度になると凍る可能性があります。
バッテリーが凍結すると、内部の電圧が下がり、エンジンの始動が困難になります。
しかし、 当店のキャパシタを搭載することで、エネルギーはほぼ化学反応ではなくカーボン素材に物理的に蓄えられるため、極低温でも凍ることがありません。
さらに、放電性能が高く、瞬時に大電流を供給できるため、低温下でも一発でエンジン始動が可能です。
一度エンジンが始動すれば、エンジンルームの温度上昇によってバッテリー液も温められ、通常の性能を取り戻します。
キャパシタを導入した車両であれば、 マイナス30度以下の極寒環境でも確実に始動することができます。
現代の自動車には、100個以上のセンサーが搭載されており、それぞれが車両状態を検知してECU(電子制御ユニット)に情報を送信しています。
センサーからの入力はアナログ信号ですが、ECUはこれを デジタル処理して車の各機能を制御します。
このとき、 電力が安定して高速に供給されるかどうかが、処理のスピードや正確性に直結します。
車には、エンジン制御用のECUだけでなく、AT/CVT(変速機)、ABS(ブレーキ制御)、EPS(電動パワステ)、イモビライザー、ボディ制御、空調、メーター、エアバッグなど、複数のECUが搭載されており、これらは『CAN(コントロールエリアネットワーク)』という車内ネットワークで接続されています。
各ECUは直列に接続され、高速のパルス信号で情報をやり取りしています。
このような精密で高速な通信・制御を支えるには、 ノイズの少ない、安定した高応答性の電源供給が不可欠です。
キャパシタは、世界的にもコンピュータ機器の電源安定化用途として評価されており、車載用途においてもその効果が認められています。
その結果、各センサーの応答が速くなり、車全体の制御精度と反応性が向上します。
キャパシタは、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、EV(電気自動車)といった すべての駆動方式の車両に有効なテクノロジーです。